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捻り(ひねり)
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捻りで内容を加工しよう!
捻りは、素材の味をより引きだすためにネタなどに工夫を凝らすことです。知識をもとに言葉やイメージを発想し、ネタの原形ができます。ただそれだけでは、話として人に聞かせるまでの面白味は、まだ充分にありません。そこで、素材を色々と加工するのです。(「いかに面白く加工するか」と頭の中で考えるので、厳密には捻りも発想の一部なのですが、ここでは分かりやすく区別しています)
捻りは加工作業なため、その仕方によってネタは様々な味をだします。逆をいえば、「捻りすぎて却ってつまらなくなった」というように、悪く加工してしまうこともあります。それだけに、良い捻り方を知っておくことは大切なことなのです。
例えば「どうして地球は丸いんですか?」という質問に対して、
「宇宙のチリが引力によって集まり…」なんて真面目な解答は、当然論外です。(^_^;)
「もういい歳だから、中年太り」と、ボケるのは良いでしょう。
「玉だけに、たまたま丸くなった」と、駄酒落で攻めるのも悪くはありません。
ただもう少し想像を膨らませて、「地球も若い頃はかなりの不良で、よく警察に捕まったもんだ。いつもギラギラした目をして、トゲトゲしい奴だった。でも歳をとるにつれて世間を分かってきて、最近ようやく丸くなってきたってとこかな!」と、ストーリーなどを加えてあげると面白くなってきます。(笑)
これは単なる一例ですが、捻りはその人の個性が表れるものなので、上手く活用して「自分の笑いのスタイル」を確立してほしいですね。(^_^)
●大まかな笑いを生む流れ
[知識]
(すべての基本。随時この記憶が参照される)
↓
[発想]
(様々なキーワード、イメージを発想・連想する)
↓
[捻り]
(発想したものを加工する。加工が終ったものは、充分な面白味があるか判断し、この段階で取捨選択する)
↓
[表現]
(話の枠組みが一通り整ったら、必要であれば演技・動きを加え、表現する)
では逆に「捻りのない(少ない)ネタ」とは、どういうものでしょうか?良い捻り方を知るために、簡単に説明しましょう。
捻りのあるネタの対極に位置するのが、俗にいう寒いネタです。寒いという表現は、一般的には「単純すぎるネタ」「誰でもいっているベタなネタ」に対して、主に否定的な意味で使われます。駄酒落でいうと、「イカが怒った」「象が歩いたぞう」など、このような単純なものは、何の捻りもない寒い駄酒落と捕られます。(笑)
捻りのないネタは、工夫がないので、どうしても面白味に欠けます。また単純なだけに、誰でも簡単に思いつき、実際によく聞く場合が多いため、目新しさがありません。それらが受けない主な原因です。そのため、どうしても寒いネタを使いたい場合は、ネタの最後に自分で「寒かったね」などとフォローをつけ加えることです。
寒いネタは一般受けしないので、周りから「本気で面白いと思っている」と思われると、引かれてしまう場合が多いのです。そこで、わざといっていることを間接的に伝えるわけです。同時に、「自分のネタは寒い」と自ら評価を落とすことは、1人突っ込みをしていることにもなり、ある程度笑いに繋げることもできます。(あくまで小さい笑いですが…。(^_^;))
ただ、本当に純粋なお笑い好きは、寒いネタも好きという人が多いのです。(本当のお笑い好きは、ネタの出来にこだわりますが、だからといって寒いネタを安易に切り捨てたりはしません。たとえ出来が悪くても「人を楽しませよう」とする、その心意気が好きなのです。純粋に笑いを楽しみたい人に多い考え方といえます(^_^)) しかし、世間はそういう人ばかりではないので、やはり相手を選んで話すのが無難でしょうね。ちなみに、私は寒いギャグも大好きで「ステーキは、すて〜き☆」なんて寒ギャグもよくいってます。(笑)
「話の切り返し」に捻るのが基本戦術だ!
捻るのが大切なのは分かりましたが、では「どういったときに捻ればいいの?」という疑問がでてくるでしょう。状況にもよりますが、大抵は「相手から話を振られたとき」または「質問されたとき」などの、話の切り返しに捻ることが多くなります。なぜなら、話の切り返しは「相手がこちらの言葉を待っている状態」です。つまり、話を集中して聞く体制が整っているので、通常よりもスムーズに言葉が入っていき、受けやすいからです。(重要!)
また、このとき相手は頭の中で「多分このような返事がくるだろう…」と、大体の予想を無意識の内に立てています。そこに、捻りを加えた予想外の返事をすることで、相手はその意外性に思わず笑ってしまうというわけです。捻る状況は他にもありますが、このことからも日常会話では「話の切り返しに捻る」ことが基本となります。
簡単な例を、2つ挙げて説明しましょう。
1.相手から「よく黒い服着てるけど、カラスをイメージしているの?もしかしてカラス好き?」などと、冗談をいわれたとき。
※1
「相手のボケを認める」という行為もボケです。(ボケ返し)
このように、相手のボケに対してボケ返すことで、ボケ→ボケ→ボケ…と、ボケの連鎖反応をつくれるのです。
このとき、その冗談に対して、単に笑っているだけでは話は続きません。「そんなわけないだろ!」と、軽い突っ込みをするのも悪くはないですが、これといった捻りもなく、言葉のインパクトが弱いのは否めません。
この場合は、単に色合いが好きで着ていたとしても、「そうだよ。よく分かったね!実は昔からカラスが大好きでね。将来はカラス商売で、飯を食っていこうと思っているんだ!」などと、ボケるのが良いでしょう。相手も冗談の分かる人なら、「じゃあ日光サル軍団に対抗して、日光カラス軍団でもつくるの?」などと、返してくるでしょう。そうしたら「それが夢だけどね。ただ今はカラス業界も不景気だから、成り手もいなくて大変だよ!」と、ボケ返しができれば面白くなってきます。(笑)
このように、相手のボケを認め、さらにボケることで話を膨らませていくことが可能になります。(※1) もちろん、相手のボケを認めるだけでなく、もっと面白い発想があれば、一旦、相手のボケを否定してから新しくボケ直すのもいいでしょう。
2.相手から「このジュース。実は、牛乳よりも栄養があるんだよ!」と、説明されたとき。
このとき「へぇ〜そうなんだぁ」では、あっさりと話が終わってしまいます。(^_^;)
この場合は、「あぁそうだよ。そのジュースは、牛乳より栄養があっていわゆるエリートだ。会社でも牛乳は、新米のジュース相手に、ペコペコしている毎日だよ!」などとボケることが出来れば、笑いに結びつきます。(このとき、セリフに感情を入れたり、実際にペコペコしている様子などを体の動きで表現すると、より受けやすくなります)
仮に、そこで受けがよければ「でも頑張ってるらしいよ。牛乳の仕事といえば、上司へのお茶汲みくらいだけど、不景気だしリストラが恐いからね〜。でも同僚のコーヒー牛乳にも相談してるみたいだよ」と話を広げていけば、相手を自分の話に引き込んでこれます。
ギャグ好きな相手なら「牛乳より栄養があって、ええよう!」と、寒い駄酒落にはしるのも悪くはないでしょう。(笑)
以上のように、話題から何かを連想し、捻り返すことができれば自然と話も盛り上がってきます。
この例では「牛乳より栄養がある」ことから、「両者の関係に差があるもの」
→ 「上司と部下」を連想しています。これは、別に「先生と生徒」でも、「親分と子分」でも何でもかまいません。(当然、連想したものの雰囲気に合うように、セリフは変える)
大事なのは、連想できるものはどんどん連想し、様々な話に広げていける環境をつくっておくことです。
ちなみに「連想したイメージから、話の枠組みをつくり、口にだしていう」 この一連の行動のトータル時間は、短ければ短いほど面白味がでて良いのです。実質どのくらいかといえば、遅くても5秒です。できれば3秒以内で返せるのが理想になってきます。5秒とは短く感じるかもしれませんが、日常会話で交互に言葉を返している状況下では、意外に長いものです。
(※上記の例の場合。「ジュースと牛乳の話を聞く」→「上司と部下をイメージ」→「それを元に、大体の話の枠組みをつくる」→「口にだしていう」。これらのトータル時間が5秒以内です)
慣れてくれば、「上司と部下」をイメージした瞬間に、「それは…」と話し始め、「話の枠組みを考えながら、話を進める」という、並列処理も可能になってきます。(慣れるまでは難しいですが、これだと一瞬で言葉を返せます!)
捻りパターンを使い回すのも効果的です。今まで自分が使ってきたパターンを、他の話題でも使い回しするのです。上記の例なら「カラスで商売」「牛乳とジュースの上下関係」というのが捻りパターンになります。これを覚えておいて、他の話題がでたときに「○○で商売」「○○と○○の上下関係」というパターンを使い回しするのです。100%同じにするのではなく、細かい部分を変えて話すだけで、意外に多く使えます。これだと、話の枠組みを最初からつくる必要がないので、かなりの時間短縮になります。(面白い捻りパターンは、覚えておきましょう!(^_^))
もちろん、良い返事が浮かばなかったとしても、深刻に考える必要はありません。別に、相手の言葉のすべてにボケなければいけないわけでもないので、そのときは、さらっと流して次に移ればいいだけです。(^_^)
キーワードのリサイクル法をマスターする!
捻り方は数多くあるが、その中でもよく使われるのが「キーワードのリサイクル」です。これは「盛り上がった話、驚いた話など、何か印象的な話題がでたときに、その内容(登場人物、品物、言葉のフレーズなど)を覚えておき、話題が移行した後、覚えておいたものをもう1度ネタにする」というものです。
実は、これは業界では「天丼」と呼ばれる、プロの芸人もよく使っている手法なのです。(「同じギャグを2回繰り返す=天丼に海老が2本乗っている」が由来) 受けが良かったネタは、まったく関係のない話の中で使っても笑いがとれるので、何度も使い回しするわけです。
仮に誰かが、「大事な仕事の日に寝坊して、慌ててパジャマのまま外にとびだしたら、周りから変な目で見られて恥ずかしかった」と失敗談を語り、場が大きく盛り上がったとします。このような受けが良い話題があったら、その内容を大まかに頭に入れておきます。(この場合は、パジャマで外にでた光景が滑稽な様子をつくっているため、キーワードは「パジャマ」になる)
そしてその話も終わり、次に「タクシーに乗ったら、運転手が変な感じの人だった」という話題に移行したとしましょう。そこで、タイミングよく前の話を持ちだし、「変な運転手って、もしかしてパジャマを着ていたの?」と、いうのです。すると聞いている側は、パジャマというキーワードによって、少し前に大笑いした光景を思いだし、つい笑ってしまうのです。
それで受けが良ければ、さらに 「今度うちの会社の制服は全部パジャマになるらしいよ」とか、 「あそこの高級レストランは、パジャマにネクタイ着用じゃないと入れないらしいよ」
などの冗談で話を広げていけば、さらに場は盛り上がってきます。
これは、どんな状況でも使用できます。内容は多少強引でもかまいません。話題が変わり、相手がその話題から頭が離れた隙に、ふいに前のネタを持ちだすと面白く感じられます。面白い話は、何度もリサイクルすることでよけいに磨きがかかるんですね。同じ言葉で何度も話を盛り上げることができると、今度はその言葉を聞いただけで、可笑しく感じるようになってきます。そのため、盛り上がった話がでたときには、逸早く「このフレーズは使えそうだから覚えておこう」「このフレーズでネタをつくってみるか」などと考えるようにするといいでしょう。
ただ注意点をいえば、リサイクルはあまり使いすぎるとインパクトがなくなり、マンネリ化する恐れもあります。そのため、周りの受け具合によって、「もう少しこの話で攻めよう」「もう止めておこう」などの判断に気をくばる必要はあります。
さて、マンネリ化の話がでたので、それについて少々説明しましょう。
面白い会話には、ある程度笑いをとるパターンが決まっていて、そのためどうしてもマンネリ化という壁に当たってしまいます。それは仕方ないことですが、ネタ自体を工夫することで、ある程度防ぐことが可能です。その中の1つに「言い回しを捻る方法」があります。これにより、同じようなネタでも違う印象を与えることができます。言葉は、言い回しによって硬いイメージにも、軟らかいイメージにもなります。それなら当然、使い方によって「面白味を加える」ことも可能になるはずですよね。
次の2つの文を、比べてみて下さい。
(その1)「毎日、花に水をやっていたのに、なぜか枯れてしまった」
(その2)「毎日、苦労して花に水をあげていた。あぁそれなのに、それなのに…。なぜ枯れてしまったの、お前さん!
〜次回『愛しのお花さん、造花として生まれかわる』を、お楽しみに!〜 」
後者は、TVの予告風な言い回しを使用しています。(こういった言い回しもリサイクルできるので、いくつか知っていると便利です) 同じような内容でも、細かい状況描写(というか蛇足?)を加えた言い回しを使うことで、話を盛り上げることができるのです。場合によっては、「ポンポン」「ダー!」などの意味のない擬音をつけ加えるのも、妙に馬鹿馬鹿しくて効果的です。
自分で「面白い!」と思ったフレーズや、言い回しがあったら、覚えておくいいですよ。くだらない表現に思えるかもしれませんが、こうした言葉遊びができるようになると、話術の才能というのも伸びてきます。実際、堅苦しい言葉しか使っていない人は、会話で人を笑わせることが上手くできない人が多いのです。もちろん、堅苦しい言葉も知っていた方がいいですが、それだけで笑いの場をつくるのは難しいでしょう。逆に軟らかい言葉だけでも良くありませんが、せめて楽しい会話のときくらい、使えるようになっておきたいものですね。(^_^)
捻りパターンの王道はこれだ!
捻りは材料を加工する手段なので、その方法は無数にあります。
・単純に馬鹿なことをいう
・駄酒落で返す
・前のキーワードを持ちだす
・言い回しを変化させる
これら説明してきたことは、人を笑わせる会話ではよく使われる「捻りパターン」の一部ですが、当然それら以外にも多く存在します。
相手から話を振られたとき、又は自分から話をするとき、とにかく自分が何か言葉を発する際、芸人魂を持っている人は「普通に話しては能がない」と考えます。受ける、受けないは別として、とりあえずどんな形でもいいから、色々と加工してから言葉を発するよう心掛けているのです。その精神が様々なパターンを生みだすのですが、その中でもとくに使われている、捻りパターンの王道と呼ばれるものを紹介しましょう。
それは、今までも何度か使用していますが、「人間以外のものに人間味を持たせるパターン(擬人化)」です。人は物事を、常に人間の立場、視点で見ようとします。そのため、人間味のある行動に対しては親近感を感じ、嬉しい、楽しい、面白い、といった感情を抱くわけです。動物や機械のロボットが、人間のような立ち振る舞いをする映画はよくありますが、どれも非常に愉快で楽しいものですよね。
ここでは、「風邪を題材にした漫才風トーク」の例を挙げましょう。(A、Bは人物)
A 「最近、風邪が流行っているから気をつけろよ」
B 「俺は絶対、風邪なんかひかないね」
A 「大した自信だな。そんなに健康に気をくばっているようには見えないけどな」
B 「いや、風邪君に賄賂(ワイロ)を渡しておいたから大丈夫!」
A 「…何!?」
B 「いやだから、風邪君の懐にちょっと小銭をね…」
A 「そんなこと聞いちゃいねーよ!風邪君ってのは何なんだよ!」
B 「俺の幼なじみでさ。趣味で毎年、風邪を流行らせたりするんだよ」
A 「趣味って何だよ!しかもお前の幼なじみが、毎年流行らせていたのかよ!」
B 「昔からファッションリーダーだったからね」
A 「そういう流行りじゃねーだろ!大体その風邪君ってのはどこに住んでるんだよ!」
B 「大体、三丁目の裏あたりかな…」
A 「もっと具体的にいえよ!そのへんうろついてんのかよ、まったく」
B 「あまりプライベートな情報は教えたくないからさ」
A 「そうか、そこまでいうなら分かった。じゃあその風邪君に『うちの家にも来ないでくれ』と伝えておいてくれ」
B 「それは無理だな。俺の場合、幼なじみのよしみで聞いてくれてるんだから」
A 「そのわりには金を渡してんじゃねーかよ!」
B 「だから、お前も金を渡せばいいんだよ。馬鹿だなぁ。何なら今、俺に渡せば彼に渡しておいてやるよ」
A 「お前そうやって、その金を自分の懐に入れるつもりだろ!」
B 「そ、そんなわけないだろ。ちゃんと渡すよ」
A 「じゃあお前に渡せば、絶対に風邪をひかなくなるんだな!責任持てよ!」
B 「……。いや〜それが今、風邪君は入院していて、しばらく会えないんだよね」
A 「入院してるってどういうことだよ」
B 「クーラーかけっぱなしで寝てたら風邪ひいたらしくて、寝込んでいるんだよ」
A 「いい加減にしろ!」
※1
受けが良ければ、「聖徳太子の手に持っているのは実はクレープだった!」などと、発想を飛躍させれば、さらに面白くなります。
風邪が、さも普通の人間のように存在している様子がうかがえますね。そして最後は、「風邪本人が、風邪をひく」というオチをつけています。題材は、動植物、無機物、とにかく何でもかまいません。それら人間以外のものが、人間と同じような行動をとるところに面白味があるのです。
ただ場合によっては、同じ人間を題材にしても、面白味をだすことは可能です。例えば、聖徳太子が原宿でクレープを食べていたら面白いと思うでしょう。(※1) このように人間でも、身近な立場にいない人物に、身近な行動をさせてあげることで、面白味はだせます。歴史上の偉大な人物や、空想上の人物などに、私たちが普段している行動をさせてみる。そのギャップと人間味溢れる行動が、笑いを誘うのです。(重要!)
これはプロの芸人。とくにフリートークが上手いとされる芸人は、必ず使っている捻り方で、まさに捻りの王道といえます。どんな題材でも、どんな状況でも、笑いがとれるため応用も利きます。TV番組の何気ないボケの中にも使われているので、観察してみるといいでしょう。
捻りは、常に様々なことを考えながら話す必要があり、慣れるまでは難しいかもしれません。しかし考えるクセをつけ、数をこなしていくうちに自然と上達していくものです。
素材を加工して面白くする。そんな知的なゲームを、皆さんも楽しんでみてはいかがですか?
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